月に1回は能楽で日常の超越を
さる5月4日と5日、銀座の天空で“薪能”が開催された。暮れゆく空に能「土蜘蛛」の糸が大きく舞い、舞台の舞と幻想的な空間を作り出した。主催・GINZASIXリテールマネジメント、共催・観世会。
このGINZASIX屋上から17階下に観世能楽堂がある。扉をあけて広がる空間に“はー”と思わず息がもれる。都会の喧噪とは異空間が広がる。これが能楽堂だ。
ここを運営するのが観世会、明治34年に二十三世観世清兼が大曲(現新宿区)に能楽堂を建設し、能楽の技と精神を後生に永く伝えるために発足した組織である。
月1回、第一日曜日を定期能と定め、発足以来、日本の演劇史上例の無い116年に亘り続けられてのが「観世定期能」である。この定期能の流れから発展し、4月と10月に大曲が上演される「観世会春・秋の別会」と合せ、毎月1回何かが起こっている。
このほか、観世会中堅の能楽師が年6回奇数月に公演する「東京観世会」、若手能楽師の育成のために年6回偶数月に開催する「観世会荒磯能」、そして年1回の「観世素謡会」が定期的に公演されているので、月に2回は楽しめることになる。
このほか、5月から始まった午前7時10分から1時間、5回、能楽鑑賞も加えた能楽を楽しく学べる「朝イチ能楽サロン」、8月8日朝10時からの3回シリーズ夏休み親子「能体験教室」と意欲的な取り組みも行っている。
以下に6月からの年内の主要なラインナップを紹介する。貴方も日常に能楽を組み入れたらいかがでしょうか! 詳細は観世能楽堂ホームページへ。
2018年6月からのラインナップ
6月3日(日)13:00 観世会定期能「芭蕉(ばしょう)」 観世清和(かんぜきよかず)ほか
6月14日(木)13:00 観世会荒磯能「玉鬘(玉鬘)」武田文志(たけだふみゆき)ほか
6月23日(土)13:00 観世会素謡会「恋の重荷(こいのおもに)」観世清和(かんぜきよかず)ほか
7月1日(日)13:00 観世会定期能「楊貴妃(ようきひ)」 梅若実(うめわかみのる)ほか
7月28日(土)13:00 東京観世会「邯鄲(かんたん)」大松洋一ほか
8月5日(日)13:00 観世会定期能「松浦佐用姫(まつらさよひめ)」観世清和(かんぜきよかず)ほか
8月9日(木)13:00 観世会荒磯能「鵜飼(うかい)」坂井音晴(さかいおとはる)ほか
9月2日(日)13:00 観世会定期能「三井寺(みいでら)」 武田志房(たけだゆきふさ)ほか
10月7日(日)13:00 観世会秋の別会 「三輪(みわ)」観世清和(かんぜきよかず)ほか
10月11日(木)13:00 観世会荒磯能「鵺(ぬえ)」金子聡哉(かねことしや)ほか
11月4日(日)13:00 観世会定期能「半蔀(はじとみ)」梅若万三郎(うめわかまんざぶろう)ほか
11月24日(土)13:00 東京観世会「天鼓(てんこ)」岡本房雄(おかもとふさお)ほか
12月2日(日)13:00 観世会定期能「鉢木(はちのき)」 観世恭秀(かんぜやすひで)ほか
12月13日(木)13:00観世会荒磯能「春日龍神(かすがりゅうじん)」坂井音雅(さかいおとまさ)ほか