銀座を文化の発信と発祥の地へ

2018/10/05
画廊

銀座を文化の発信と発祥の地へのイメージ画像

 東京画廊+BTAPでは9月29日(土)から11月10日(土)まで、林武史の個展「凸凹な石」を開催します。展覧会の期間中の10月17日から11月3日まで、全銀座会が主催するオータムギンザのイベントの一つで11軒のギャラリーが参加するアフタヌーンギャラリーズの最終日に、本年初となります東京アート&ライブシティプロジェクトを当画廊でも予定しています。


 来場される方が、アートと演奏のコラボレーションを体験できるプロジェクトです。展示された陶と木のインスタレーションを舞台に見立て、高安流若手太鼓方柿原孝則が伝統の曲目にこだわらず太鼓を打ちます。アートを視て音を聴くことは、物質である作品と空気の振動である曲を体感する、再現が不可能な一期一会の出会いなのです。


 今回の林展に先立ち、本年の5月に現代音楽家一柳慧と陶芸美術家近藤高弘のコラボレーションによる「消滅」展を企画しました。近藤が土の器を即興で造り、一柳がその器へ水を入れると同時に一柳による曲をヴィオラ奏者の小早川麻美子が演奏を始め、終了時には6つの器が崩壊する実験的な展覧会です。


 思い起こすと、1960~70年代に青山にある草月会館では、現代アートのパフォーマンスや現代音楽のライブなど様々なジャンルのアーティスト達が実験的な表現を繰り返し発表していました。私が目撃した中で最も衝撃的であったのは、演者である暗黒舞踏集団の麿赤児が客席の中を走り廻るパフォーマンスです。東京は前衛の活気に溢れていました。


 50年の歳月を経て再び観る人の目が生き生きとなるライブを銀座の町の各所で催すこと、これが東京アート&ライブシティプロジェクトの今回の目論見です。
 消費の町と化した東京を再び「もの」ではなく「こと」の生産の場へ変えたい。2018年を平成最後の年と記憶されるより、改元へ繋げる文化発祥の年にしましょう。


東京画廊 代表取締役社長
山本豊津